ラ・トゥール・ドュ・ヴァン

毎年7月には、世界中が盛大なサイクリングイベントを鑑賞します。バイク競技のみが素晴らしいわけではありません。建築、ひまわり、山々、テレビ局のヘリコプター、全てを含めてスポーツイベントが成立しているのです。そしてツール・ド・フランスに加え、フランスと言えばワインも欠かせないでしょう。

アルザス地方からボルドーのセラー、アステリックスの樽、ジェラール・ドパルデューのセラーまで、ローマ帝国まで歴史を遡るワインはフランスの文化的な血とも言える存在です。ワインは喉を潤し心地よく酔うだけではなく、土地と深い関係があります。地域ごとに土壌や天候が異なり、ブドウの種類も様々。醸造されたワインは、その土地の最大の表現となるのです。

ボルドー、ブルゴーニュ、ローヌ、アルザス、シャンパン、ロワール、ラングドック、プロヴァンスが伝統的なワインの産地として有名です。Grand Boucleのヴァーチャルワインツアーでそれぞれの地域を発見して。今年のルートは時計回りに進み、カレーからアルプス、南西のピレネー山脈を越え、最後にパリに戻ります。レースの各ステージの概要を説明するのではなく、フランスの肥沃な土壌に由来するグラン・クリュと世界最高のヴィンテージワインの一般的な分類をお話ししたいと思います。

ステージ 1 – 4 : 水とパンの始まり

今年のグラン・デパールはサイクリング文化で賑わうデンマークが舞台。スカンジナビアの人々への敬意を払って説明を省かせて頂き、最初の3ステージを前走とします。休息日を挟み、プロトンはフランスに到着。カレーとダンケルク間のスプリントステージが待ち受けています。免税以外ではワインはそれほど知られていない地域。

ステージ5&6:シャンパーニュ

アルデンヌへの寄り道を含む石畳の地域、フランスの北東でのミニスプリングクラシックが楽しめそうです。ここからレースは熱気を増すことが予想されるため、それほど外れた場所にいるわけではありません。史上最高(そして最高額)のシャンパンを堪能して。

シャンパンは伝統的にピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネのブレンドから鋳造されていますが、エレガントなブラン・ド・ブランはシャルドネ100%。醸造は二次発酵(酵母と砂糖を追加して二酸化炭素を生成する)を経て、発泡酒が完成します。クリュッグ、クリスタル、ドン・ペリニヨンなどの有名な種類以外にも、ここでは多くの発見があるでしょう。ビルカール・サルモンなどのシングルエステートワインは高く評価されています。

G. Tribautや家族経営のPiot Sévillanoなど、比較的手頃なメーカーも魅力的。またはツール・ド・フランスの公式VIPシャンパンであるカステルノー のcuvée Véloceを探しに。

相性の良い食べ物:オイスター

ステージ7:アルザス地方

山頂でフィニッシュを迎える最初のステージは、アルザス地方と並行したルート。白ワインで最も有名ですが(ピノ・ノワールも悪くありません)、この地域はドイツに近く、曲線美が際立つ風景はピノ・グリやマスカットと並んでリースリングやゲヴュルツトラミネールワインの鋳造に最適なエリアです。近くには51ヶ所の「グラン・クリュ」(最高級のブドウ園)があり、多種多様な土壌に恵まれています。この地域のドライで軽やかなリースリングの1つをお勧めします。有名なアルザス地方のヴィニュロンには、Humbrecht、Hugel、Cave de Turckheim、RollyGassmannが含まれ、ピリッとした風味のある独特の仕上がりに期待が高まります。  

相性の良い食べ物:タルト・フランベ

ステージ8:ブルゴーニュ

ステージの少し西に向きを変え、世界的に有名なブルゴーニュを見てみましょう。間違いなく最もロマンチックで、最も高価なヴィンテージワインのある場所。ディジョンのすぐ南にあるブドウ園が広がるコート・ドールには、世界最高の単一品種ピノ・ノワールとシャルドネがあります。コート・ド・ブルイィやフルーリーなどのクリュを含む南方で醸造されたボジョレーは、比較的安価で優れた品が多数あります。ガメイのブドウで作られたボジョレーは、少し冷やして楽しむのがおすすめです。

相性の良いチーズ:コンテチーズ 熟成24ヶ月

ステージ9〜11:ローヌ渓谷

アルプスに入り、発見が多数あります。ジュラの辛口のフルボディの白やサヴォワのスパイシーな赤など、幅広いフレーバーを提供する地域。シャトーヌフ・デュ・パプは、通常ローヌヴィンテージの頂点、赤ワインのガリビエ峠として知られています(ただし、同じ名称でいくつかの白ワインも生産されています)。シャトーヌフ・デュ・パプのヴィンテージは究極に優れているため、宇宙からの生物がブドウ園の上を彷徨っているのが目撃されたと言われているほどです。

シャトーヌフ・デュ・パプの傑出した品には、ドメーヌ・デュ・ヴュー・テレグラフ、シャトー・ラヤス、ギガルのワインが含まれます。比較的手頃な価格に関わらず素晴らしい赤は、ケランヌ、サブレ、リラックを含むローヌの村々で作られています。ローヌからのいくつかのブドウ品種はギリシャを起源としているものもあり、グルナッシュとシラー品種から作られたキュヴェ、またはヴィオニエを使った白は間違いないでしょう。

相性の良い食べ物:タルティフレット

ステージ13:プロヴァンス

今年のツール・ド・フランスはプロヴァンスを通過しませんが、カフェ・ドゥ・シクリステの故郷を含まないわけにはいきません。南フランスに漂う夏の空気、スプリント後に喉の渇きを潤すプロヴァンスのロゼワイン、世界的に有名なフィッシュシチューのブイヤベース。ロゼは赤ブドウの品種で作られていますが、ブドウ皮接触を最小限に抑えて浸軟させているため、色と特徴はブドウと醸造方法によって異なります。最も尊敬されているロゼ生産者に、バンドールのドメーヌ・タンピエ・エステートがあります。彼らのロゼは、ムールヴェードル、グルナッシュ、サンソーのブドウ品種を使用して作られています。

ニース地元のワインの場合、シャトードベレのフローラル系白はシーフードと完璧に合います。

ステージ14〜18:ラングドック=ルシヨン地域圏&シュド・ウエスト

ピレネー山脈に向かって西にあるラングドックには、人気の高いピクプール・ド・ピネの白ワインなど、いくつかの重要なアペラシオンがあります。南西部のワイン産地は広大で、さまざまなワイン醸造所が点在しています。レースがクライマックスに達すると、深みのある赤を堪能することができるでしょう。フルボディで複雑なCôtes-de-Bergeracは、非常に厳しい収穫条件で作られています。カオールはドルドーニュのワインで、しっかりとした山頂でのフィニッシュに最適な味わい。現地産タナブドウで作られたワインもかなりパンチがあります。山ではジュランソン・セックなど甘いワインを見つけることができ、プティ・マンサンを使用した白ワインは傑出しています。

相性の良いチーズ:ロカマドゥール

ステージ19〜20:ボルドー

ワインで世界的に有名な地域無しには、フランスワインツアーをすることは不可能です。ワインの分類は1855年にここで始まり、皮の厚いカベルネ・ソーヴィニヨン(左岸)とメルロー(右岸)のキュヴェが力強く滑らかなヴィンテージを生み出しています。グレイブスの小区域で生産された甘いソーテルヌもあり、「クラレット」(英国ではボルドーワインと呼ばれていました)がかつてイギリスに輸出されていました。最も高価なワインは左岸からのもので、「millionaire’s vinegar」として知られています。ヒルでの試練というよりは、長いスパンの耐久性が感じられる味わい。シャトー・ラフィット・ロスチャイルドとマルゴーのファースト・グロースワインはすべての人に適しているわけではないため、サン・テミリオン、ポイヤック、メドックなどのアペラシオンから小規模な生産者を探すのがおすすめです。

相性の良い食べ物:ステーキ&フライドポテト

ステージ21:ロワール渓谷

最終段階はもちろん黄色いジャージのライダーのためのシャンパン(上記参照)についてですが、パリから西に進んだロワールを訪問したいと思うかもしれません。ロワールのクレマンはシュナン・ブランのブドウを使用してシャンパーニュ方式で作られ、南向きの斜面を持つ同地域はソーヴィニヨン・ブランとサンセールを含む優れた白を生み出します。カベルネ・フランを使用したロワールの赤ワインは、Saumur ChampignyやBourgeilなど試す価値のある生産者が多く存在します。これらのワインは、軽く冷やして楽しむのがおすすめです。

親仏アメリカ人のフードライター、リチャード・オルニーが述べたように、「ワインの魂を言葉で触れるのは難しい」のです。したがって、フランスのワインを発見する最良の方法は、サドルに乗ってブドウ園(またはワインショップ)に向かうことです。栓抜きを忘れないで。

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