トワル・ド・ジュイ:フレンチデザイン
聞きなれない名前かもしれませんが、アイコニックなパターンを目にすればすぐに分かるでしょう。叔母の家にある古い壁紙や、最高級のノルマンディーホテルのスイートルーム、または陶器のプレートで見た事があるかもしれません。フランスの独特な感性を体現したアイコニックなデザインです。
名高いファブリックであるトワル・ド・ジュイは、ヴェルサイユ宮殿から7キロ離れた場所にある小さな街ジュイ=アン=ジョザスで生まれました。オベルカンフのリネン工場が最初にコットン地に施したパターンが、王室の認定を受けた理由もこの距離感にありそうです。
パリに行った事がある方なら、オベルカンフの名前に親しみがあるかもしれません。パリ11区のオベルカンフ通りは、工場の創設者でありコットンプリントシステムを発展させた起業家クリストフ=フィリップ・オベルカンフに因んでつけられました。
興味深い事柄#1:フラゴナールやブーシェと行った当時の有名アーティストと協働し、3万以上のデザインを工場で生み出しました。
伝統的で牧歌的な田舎の風景が主なテーマでしたが、例外もありました。デザインの歴史を紐解くと、当時の社会的風潮を取り入れたり、政治的なメッセージを送るために使われたりしたこともあったようです。パターンにストーリー性を加える事ができるトワル・ド・ジュイは、デザイン界の確固たる位置を占めていきました。
興味深い事柄#2:ビースティ・ボーイズのメンバー、マイク・ダイヤモンドがブルックリン版のトワル・ド・ジュイをデザインした事を知っていますか?
トワル・ド・ジュイは将来の夢を描いたり、トレンドを反映させたり、現実に反した内容を表現したりする事が出来ます。ファブリックはまさに白いキャンバスなのです。オベルカンフ氏にとってのコットンがそうであったのと同じように。彼の生まれはドイツですが、フランスの市民権を得た事実を誰もが認めています。パターンを商品化することにより、フランスのクラシックデザインを作り出したのは彼ですから。
興味深い事柄#3:カフェ・ドゥ・シクリステもトワル・ド・ジュイに興味を持ち始めました。
続く。